千葉大学医学研究院医療行政学講座

 

ご挨拶

千葉大学大学院医学研究院 客員教授
(独)医薬品医療機器総合機構 審議役(品質管理担当)(併)品質管理部長 
 櫻 井 信 豪

櫻井信豪

  本業は独立行政法人医薬品医療機器総合機構の品質管理部の部長をしています。品質管理部は、医薬品や医療機器を製造している製造所(工場)がそれぞれ定められた基準に従って製品の製造管理や品質管理が実施しているかを査察する部門です。医薬品、医療機器の安全性や有効性、品質を確保する法律に薬事法があることは多くの皆さんがご存知だと思います。そして新薬や新医療機器が国の審査で承認されなければ、患者さんに恩恵をもたらさないこともご存じのとおり。しかし、その新薬や新医療機器を承認する過程で関連するすべての製造所について査察が行われていることをご存知の方は少ないかもしれません。医薬品についてはGMP (Good Manufacturing Practice)、医療機器については QMS (Quality Management System) という厚生労働省の基準があり、これらを満たさなければいくら優れた薬効、機能特性を持つ新薬、新医療機器も承認されないのです。  さて、私が学生だった頃、GMPという言葉は知っていたものの、社会人になり工場の仕事に従事して初めて生命関連品としての物作りの難しさを知りました。4つのMというのがあります。Man(作業者、監督者、経営者)、 Machine(設備、器具、機械)、 Method(方法、手順、条件)、 Material(原料、材料) の4つです。工場の生産活動はこれらの4つが効果的に機能して良品質の製品が作られます。一つでもきちんと機能しなくなると品質劣化が起こり、たちまち使用者(患者さん)に迷惑をかけてしまいます。このようなことが無いよう、品質保証の考え方は絶えず研究され進歩していますが、残念ながら今でも大学でこのGMPを本格的に勉強できるところはほとんどないと思います。良品質な医薬品を目指す品質保証活動は、均質性や均一性の確保、微生物汚染や異物汚染の排除などを工業スケールで達成することです。しかもそれはコストを意識したものでなければなりません。工場というと泥臭いイメージがありますが、この品質保証活動を進める人材は豊富な知識と高い洞察力を持った人が求められます。  近年、再生医療分野では基礎的な研究から臨床研究へと進んだものも出始め、将来の市販化が期待されています。多種多様な再生医療分野のものの品質保証をどのように考え、規制に反映してゆくのかは、レギュラトリーサイエンスとしても魅力的なテーマであり、まさにこれからの研究です。このようなものも本講座の研究に取り上げたいと考えています。 ▲ページの先頭に戻る

千葉大学大学院医学研究院 客員教授
(独)医薬品医療機器総合機構 医療情報活用部長 
 宇 山 佳 明

宇山佳明

  医療行政学講座とは、(独)医薬品医療機器総合機構(PMDA)と千葉大学との連携大学院として誕生した講座で、レギュラトリーサイエンスの観点から、医薬品の評価に関わる様々な行政的課題を、医療現場での実情を踏まえながら有機的に連携し、研究していくことを目的としています。 具体的には、以下が主な担当研究課題です。

●承認審査のための効率的な医薬品開発戦略の構築に関する研究
●承認審査における医薬品評価の最適化に関する研究
●医薬品投与におけるゲノム薬理学の活用に関する研究
●医薬品評価に及ぼす民族差の影響に関する研究

 例えば、医薬品の効果には、個人差があると言われますが、日本人と白人という集団で比較した場合にも、最適な投与量等は異なることがあり、民族差と言われています。この民族差が生じる要因には、体重、遺伝的要因等の違いもありますが、臨床試験を実施する国での診断方法や併用治療の違いなども影響する場合があります。現在では、医薬品の有効性及び安全性を評価する際には、日本人データ以外に、多くの外国人データを評価することが一般的であり、こういった外国人でのデータに基づき、日本人における有効性及び安全性をどのように担保するのかが、一つの課題となっています。  当講座では、日本人での医薬品の有効性や安全性に影響を及ぼす重要な民族的要因は何かに着目し、そういった要因を考慮しながら効率的な医薬品開発を進めるための方法等について研究しています。また、医薬品の有効性及び安全性を適切に評価するための手法、ゲノム薬理学等を利用した個別化医療を普及・定着化させるための方策等についても研究を行っています。  また、本講座では、こういった課題に関する講義も行っており、医薬品の開発や承認審査における日本の課題について正しく理解し、考える機会を提供しています。将来の医薬品開発や承認審査のあり方について、根拠に基づき自らが考え、提案できる人材、すなわち、レギュラトリーサイエンティスト(Regulatory Scientist)を育成することも重要な目的の一つです。  本講座は、まだ始まったばかりですが、上記のような活動を通じて、客観的な情報を発信し、医薬品の開発及び承認審査等の最適化に貢献していきたいと考えております。 ▲ページの先頭に戻る

千葉大学大学院医学研究院 教授
千葉大学医学部附属病院 臨床試験部 部長 教授 
 花 岡 英 紀

花岡英紀

行政とアカデミア
 医療行政学というPMDAとの連携大学院は本学において設置された。これは、単にアカデミアと規制当局との連携を強くするためを目的としてはない。千葉大学は、永きにわたり多くの高い能力のある医師、薬剤師を行政に排出をしてきた。これは大学としての人材育成の結果であり、本学の卒業生が広く社会で活躍をすることは非常に喜ばしいことである。連携大学院では社会に出て間もない人々が更なる飛躍を図るために、研究の場を提供することがその第一の目的である。科学的な視点を持つ研究者として社会の中でさらに発展してくことは本人のキャリアアップにおいても必要なことであり、これを支えるための新しいチームが行政における専門家とともに平成23年4月に千葉大学大学院に設置されたのである。PMDA、厚労省などさまざまな機関に所属するメンバーによって構成される本講座において、新たな研究を展開することを目指していきたい。 ▲ページの先頭に戻る